【子供から思春期へ】引きこもりへの導線/大人からの差別

スポンサーリンク

長男、9歳(小学3年生)の1月の終わり頃、1年半続けた家庭内単身赴任生活にピリオドを打ち、私と3人の子供達は、以前住んでいた団地から200メートルしか離れていない、学区内の古い借家に引越しをしました。

アパートではなく借家を選択したのは、長男次男が騒音を気にせず生活できること、広さの割に賃料が安かったこと、当時お世話になっていたご家族のお隣だったこと。

その3点から新生活の拠点として選択したのが、築40年、3Kで家賃3万5千円の古い借家です。※この地区の市営住宅は50年近く前からの建築物で、盗難も多く、治安が悪い

母子家庭に世間は冷たい。そのことを私は徐々に知ることとなります。

スポンサーリンク

大人は子供を守らない

家具は、慰謝料がわりに前夫のところから運び込み、ほとんど新調することはなく、暖房器具は1台のストーブとこたつだけ。

引っ越したのは大寒の最中。子供だけの生活でストーブは危険なので、私が帰宅するまでの時間はこたつだけ。隙間風が入るような古い借家で、板間にこたつだけの冬は、留守番の長男次男には辛かったことと思います。19時頃に帰宅すると、二人がいつもこたつに潜り込んで暖を取っていたのを覚えています。

子供心を救ってくれた【食育】

1月に別居、前夫が春から長期出張に行くことを機に、3月に正式離婚をしました。

安いけどフルタイムのパートをしながらの役所通い。姓を戻さない選択をしたため、戸籍取得をするために家庭裁判所に通ったり、国民健康保険証取得、など、様々な手続きに忙殺されていました。

体はしんどいけど、夫が居ないという、私に取っては気楽な生活。31歳という若さも手伝って、生活リズムが崩れがちになっていました。

そんな時、長男が怒ったのです。

『朝ごはん、ちゃんと作ってや!!』

それまでは和食中心の、家庭内単身赴任で手抜きでも、まぁ普通の家庭の朝食を、半ば意地も手伝って、それなりに作っていました。

それがいきなりパン食になり、ギリギリまで寝て、簡素なものが提供されるようになったのですから、腹が立っていたのでしょう。いえ、それは表面的なことで、新生活への不安や、外で囁かれる離婚のこと、などの軋轢に耐えていたのでしょう。

これは、長男にできる、精一杯の抵抗なのではないか!?

私の心にはそのように届きました。

それから、心を入れ替え、簡単・手抜きでも、貧乏でも、ひもじい思いだけはさせないように、母の作ったご飯をお腹いっぱいみんなで食べる、そこを生活の基本としました。

その時もこれで落ち着きましたが、食育の大切さは、後々、不登校になった時にも大きな力を発揮することとなります。

お味噌汁

近所のおじさんに脅された!!

これは、離婚して2ヶ月くらい経ったある日の出来事でした。

パートから帰宅すると、いつもは空いている玄関の鍵(治安がいい住宅地)が締まっていて、窓も全部カーテンが降ろされているのです。まだ明るい時間帯で、いつもなら外で子供が遊んでるような時間でした。

その時、私が駐車場(家が見える位置)に車を停め、家まであと10mくらいのところに来た時、1人のおじさんが玄関前から去っていったのが見えていました。

一抹の不安を覚え、室内に入ると、室内に変わった様子はありませんでしたが、奥の部屋で長男が布団に包まってひどく怯えていたのです。

これはただ事ではない!!それはひと目で判断できました。

そこで、同じく部屋にいたけれども平然としている、3年生の次男に聞いてみたところ、その事実にビックリ!

次男と同級生、近所の子供A君のお父さんが、長男のことを一方的に責め立て、家の外からドアや窓を叩いたり、怒鳴ったりしていた、と言うのです!!

じゃあ、さっき家の前から立ち去った男性は、A君のお父さん!?子供をドアや窓を叩いてまで攻めるほど怒っていたのであれば、なぜ、帰宅した私に何も言わずに立ち去ったのか!!?

腹立ちと疑問と不安。

これはただ事ではない、この子を守らなければ!!

母親として、子供は守られていない、と言う現実を知り、世間に戦闘意識が芽生えた瞬間でした。

父親がいない、ということの弱み

では、何故そんなことになったのか。

本人は泣いて布団から出てこないし、怯えきっているので、次男から詳しく事情を聞きました。

長男と長男の同級生B君、それから次男とA君、その他数人で遊んでいたが、罰ゲームが発生、長男とB君がA君を走らせたそうです。まぁ、いわば、上級生の下級生への嫌がらせですね。(これはこれで長男とB君は後に叱られました)結構の距離を走らせたそうです。

そして、その途中で帰宅して、父親(ラグビーの指導者)にそのことを訴えたA君。我が子に罰ゲームを与えたことに怒ったA君の父親が抗議に来た、これが事のあらましでした。

ここまでは良いのです。悪いことをしたのですから、叱られて当然。

しかし。おかしいのはここから。家に来て叱責し、室内に逃げ込んだ長男に対し、脅しとも取れる言動をしていたA君のお父さん、なんとB君に対しては何も言っていなかったのが判明したのです!!

このことはB君のお母さんに連絡して、B君からも話を聞いてわかったことです。叱られたのは長男だけ。B君は叱られたことさえ知らない。

そこに残ったのは、100歩譲って、A君が「長男だけが悪い」と言ったのだとしたらそれは有り得る。では何故、母親の私が帰宅した時に家を離れたのか、A君の父親に対するイジメ疑惑です。

ことの成り行きを理解し、怒り爆発な私は、その日のうちに、何も知らなかったA君のお母さんに電話をし(本人だと誤魔化されてしまうので)、その通話中、受話器の向こうで父親がシラを切っていることを確認、父親がいないことで大の大人が子供を攻撃するのはやめてくれるように伝えて欲しい、という主張をして電話を切りました。

その後、A君のお母さんから何も聞くことも、もちろんお父さんから何の謝罪もありませんでした。ただ、そのようなことはコレッキリとなり、私が徹底抗戦している姿を見て、長男は安心したように、布団から出てこられたことを記憶しています。

優しい心の持ち主

そんな、通常家庭ではあまり経験することのない、大人の汚さとか脅威を肌で感じて育った長男ですが、元来優しい心の持ち主です。

本当の姿はみんなで仲良く遊ぶのが好きなお兄ちゃん

7歳下の妹を心底可愛がっていました。妹が3歳の時には、近所のおもちゃ屋さんに連れて行き、月に400円のお小遣いの中から100円か200円のおもちゃを買ってやり、友達の仲間に入れて遊ぶ、そんなお兄ちゃんでした。

時折おもちゃ屋さんに挨拶に行くと、その様子を見守ってくれているお店のおばちゃんは、『あの子達は大丈夫よ、優しい子だね』と言っていつも褒めてくれました。

彼の本当の姿は、みんなで仲良く遊ぶことが大好きな、いいお兄ちゃんです。

お金がないことへの気遣い

また、お金がないことも熟知していて、ほとんどおねだりもしませんでした。

当時、体操ズボンの規格が変わり、それまで持っているものとどちらを使ってもいい、そういうことになりました。

その時も、私が何か言ってしまったのかもしれませんが、『今の方が好きだから買わなくていい』そう言って新しい体操ズボンの購入はしませんでした。

その後、運動会で分かったのは、ほとんどの同級生は新しい規格のズボンを購入していたこと。

そして、大人になって知らされたのは、そのことや、手作りネームのことでイジメを受けていた、という事実です。彼は、親に気を遣って、購入を諦めていたのでした。

イジメる側の子供達にも腹が立ちますが、子供のことをもっと優先してお金を遣っていればそんな思いをさせずに済んだのではないか・・・という後悔です。

子供は、親の知らないところで、とてもとても、親のことを心配しています。

もしもあの時、『つらい』と言える環境が作ることができてたら

引きこもりへの導線。これは決して子供の素質だけではあり得ません。

多くはその子の置かれた環境、取り巻く大人、親の気持ち、学校・・・

限りなく環境による要因が大きいと思います。もちろん素質もあります。我が家の長男と次男は、遊ぶ環境も剣道も、本当に常に同じ環境で育ちました。なぜか占いでも同じ結果が出ることが多いです。

でも!!イジメられたり疎外されるのはいつも長男次男は逆に可愛がられるので、先の体操ズボンの件でも何も問題は起こりませんでした。

持って生まれたもの、と言ってしまえばそれだけですが、保育園の時から大人に好かれなかった、という要因は、個人の社会進出を阻む大きな要素になり得ます。

世間の大人は子供を守ってはくれない

母子家庭になって分かったことがいくつもあります。それは、両親が揃ったごく平凡な家庭で育った私には分からなかったこと。

  • 母子手当をもらうことに苦情を言う人がいること
  • 父親がいないと舐められること
  • 子供を守れるのは自分自身しかいないこと(単独育児の場合)
  • フルタイムで働かないと行きていけないことが分からない主婦も多いこと
  • お金がないことは子供の心をも荒ませること

・・・エトセトラ、エトセトラ・・・

ご実家に戻られて、ご両親が一緒に子育てをしてくださる母子家庭とはずいぶん違うでしょうし、それを選択しなかった私の勝手で子供に苦労をかけた、という部分はあります。

でも、世間からいわれもないことで非難されることは多く、このころ、20年前よりも今の方がひとり親世帯は増えていると思いますが、経済状況が悪化していることを考えると、風当たりは強くなっているのかもしれない、そう考えます。

正しい、という思い込みと偽善

非がないのに非難されることの多くは「常識」というオバケに取り憑かれた人から浴びせられます。

それは確かに間違っておらず、言っている人も悪いとは思っていないのでタチが悪く、決して改めてはくれません。これに対しては反論するだけムダです。

でも、多くは弱いものに向けられる。子供にも平気でその言葉を浴びせる。子供は分からないと思っているのか、その親に対する非難を子供に浴びせかける。

これは意外とよくあることです。もしかしたら、知らず知らず自分もしているかもしれません。悪意がないので気付きませんよね。

偽善行為をしないためには・・・視野を広げることしか予防法はないかもしれませんね。

親にしかできないこと

結局。我が子を世間から守るためには、我が子が自分の足で行きていくためには、親が子供の心の声に耳を傾け、しっかりと向き合うことしかないのかもしれません。

正直、シングルのファミリーでその時間を持つのは大変です。心の余裕もお金の余裕もありません。私がそのことに気付いたのは、長男が不登校になってからです。でも、本当に気付いたのは最近です。子育て、終わってしまいました・・・

心の余裕は時間の余裕、時間の余裕はお金の余裕です。生活保護世帯よりも収入が低い人は、迷わず市に相談に行ってください。門前払いされるかもしれません。でも、もしかしたら認められて、不足分が支給されるかも、しれません。

そして、時間に余裕ができたら、今しかない、2度と帰ってこない、子供との時間を大切にしてみてください。

タイトルとURLをコピーしました