みんなで共存できる社会へ【引きこもり】

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【引きこもり】生活

先日起きた川崎市登戸殺傷事件に続き、引きこもりの息子を父親が殺した事件が起き、マスメディアやSNSでは事件そのものというよりも【引きこもり】のことについて盛んに議論が飛び交っています。

そのことがいけないとは思いませんし、むしろ目が向けられるということは、ある意味、引きこもっている人たちを囲っている壁を突破するきっかけになるのかなぁ、と思って静観しています。

まぁこうして書いてみたり、ツイートしているので静観ではないかもしれませんが(笑)

先日に引き続き、 当事者家族として【引きこもり】について考えてみるのですが、今日はそのきっかけや理由に的を絞ってみたいと思います。

【引きこもり】引きこもった理由

前回書いた記事の中でも主張しましたが、引きこもりになるきっかけ、って意外とどこにでもあることなんですね。人間関係だったり、勉強だったり、就職だったり。

ではなぜ、そこで引きこもってしまうまでに至るのか。

当事者家族として、偏見と希望に満ちた(笑)意見を述べてみたいと思います。

資料①

■生物学的要因が強く関与している場合もあります 「ひきこもり」という行動をとる人のなかには、生物学的要因が影響している比重が 高くて、そのために、「ひきこもり」を余儀なくされている人々がいます。たとえば、 Ⅰ 「ひきこもり」の概念 2 統合失調症、うつ病、強迫性障害、パニック障害などの精神疾患にかかっている人々で す。これらの疾患にかかると、その一部の人は、不安や恐怖感などがとても強くなり、 人と会うことが困難になったり、症状のために身動きできずに、ひきこもらざるを得な くなったりするのです。 また、軽度の知的障害があったり学習障害や高機能広汎性発達障害などがあるのに、 そのことが周囲に認識、理解されず、そのために生じる周囲との摩擦が本人のストレス になることがあります。このようなストレスが過剰になった場合に、ひきこもることで それを回避するものの、精神的に不健康な状態を持続させてしまうというパターンには まる人々もいます。 ■明確な疾患や障害の存在が考えられない場合もあります それに対して、明確な精神疾患や障害の存在が考えられないにもかかわらず、長期間 にわたって自宅外での対人関係や社会的活動からひきこもっている人々もいます。成長 とともに「生活のしづらさ」が増え、そこから回避するように「ひきこもり」をはじめ たり、何らかの挫折感を伴う体験や心的外傷となる体験が引き金となって、社会参加へ の困難感が強まり、「ひきこもり」にはまったりすることがあるのです。精神科的観点 から詳細な診断をすると、パーソナリティ障害や社会恐怖などと診断される人々もこの なかにはふくまれます。

10代・20代を中心とした「ひきこもり」をめぐる地域精神保健活動のガイドライン より引用

見えにくいこころの傷・児童

【引きこもり】という定義で括ることができる対象、というのはあまりにも範囲が広すぎますが、まずは児童から考察してみたいと思います。

まず第一に。上記に引用した『精神保健活動のガイドライン 2003年』にもありますが、明確な理由が見当たらない、というのがこの【引きこもり】を悪化させる大きな要因だと思います。

もちろん【いじめ】や【病気】の場合は明確な理由が見られますが、そうでない場合、もしくはその理由が改善された後の引きこもり現象。

これは結局どの年代でも同じだとは思いますが、嫌な思いをした・辛いできごとがあった、などそういった経験をすることで心が委縮、次におこることへの不安や恐怖感などが強くなり、まず一日、その次の日・・・というように萎縮の連鎖で徐々に行動に移しにくくなることは容易に想像ができます。

「そんなことは誰にでもある」「そんなの心が弱いだけじゃないか」よく聞く言葉ですよね。でも、これらは決して本人の気持ちを考慮した言葉ではなく、自分の経験や理想像に沿っての発言なのです。

かく言う私もそういった発言をしていたと思います。息子が不登校になったその頃、彼自身の心よりも世間の目、進学への憂慮、先生への連絡・・・そういった世間に対する自分の心を心配していただけで、彼自身の気持ちを考えていたのかと問いただすと、全くできていなかったと思います。

これが大きなきっかけではないでしょうか。その時に丁寧に子供の傷ついた心に寄り添って、大きな勇気を出そうとしている子供を支えてやらなかったことが、後々長期化してしまうのではないかと考えます。

何故なら。これが体の病気であれば放置はしないでしょう。

もしも足に大きな傷を負って、傷薬を塗っていたけれども化膿してただれてきた、患部からすごい膿が流れ出てきた。病院で処置をしてもらったけれども傷口がふさがらない・・・などなど、必ず再度病院に行って再治療なり検査なりしてもらいますよね。

それを目に見えないことで放置してしまったのがこころの傷であり、後々鬱病など、先天性でない精神病を誘発することになるのだと思います。

こころの傷・思春期

さて。これが中学生、思春期になるともっと複雑になってきます。我が家の息子が不登校になったのも中学2年生の3学期でした。今考えると、それよりも以前より少しづつ兆候は現れていたのですが(寝坊・発熱・下痢・ケンカなど)私はまったく気づいていない、というよりただの思春期の問題として捉えていたように思います。ですから、学校へ行かなくなった当初は暴力的な言葉と態度で彼を責めていた記憶があります。

中学生になると親の頭には『高校受験』という次への大きなステップへの不安が存在し始めます。でも、特に初めての子供だと何もわからないため、先生の言葉だけが頼りのように感じてきます。この時、経験豊富な保護者の友人とか教育関係者が身近にいてくれれば、選択肢があれこれ情報として入手できるので不安が減ります。下の子になるほど楽に育てられる要因としては情報量の違いが大きいです。

でも。 それは親だけでなく子供も同じですよね。 親からのプレッシャー、学校からの圧力、塾での成績、自分の力と希望(自分自身や周囲)のズレ・・・など本当は誰よりも自覚しているはずの面にガミガミいわれることで徐々に追い込まれていくのではないかと想像します。

また、これは学習面・受験面だけですが、部活動、友人関係、思春期ならではの異性への感情など、二次成長期の複雑なこころの問題も複雑に絡み合います。

やはりこの時におおらかな気持ちで、かつての自分を振り返りながら片目を瞑って見ているくらいの方が良いのではないでしょうか。本当は子供達、親に頼りたい部分もあると思うのです。そして本当に行き詰ってしまった時には、学童期のくだりで書いたように放置しない。よりスピーディーに相談機関に飛び込む。(精神保健福祉関係や心療内科、精神科など)他人の目を気にしてはいけません。

『高校受験』という節目に乗り遅れてしまうと、その先の人生が大きく変わってしまうのです。

今の時代は忙しすぎます。でも、子供の人生に関わる時間はほんの一瞬です。ちょっと立ち止まって時間を作ってください。早め早めの対策が必要です。

社会人としての挫折

中学校・高校を卒業し、大学卒業後に社会に出る人、高校を出てすぐに社会に出る人、色んな人がいます。この18年なり22年を紆余曲折しながらもなんとか社会に出ることになり、希望や不安を抱えながら社会人になっていきます。当たり前、ですね。たぶん。でも本当に当たり前??ですか?

卒業したくない、社会に出たくない、働きたくない、ニートになりたい、ずっと扶養でいたい・・・そんな気持ちで卒業を迎える人、案外多いのではないでしょうか?

そしてそれは『甘え』ですか?みなさん一度は考えたことないですか?

こんなこと言うときっとお叱りを受けますけど、『専業主婦・夫になりたい』『家事手伝いでいい』・・・あまり変わらないですよね(笑)っていうか、男性の引きこもりのほうが多いのは、こういった『仕事』のジャンルが少ないからかな?って思います。人付き合いが苦手で家事が得意なら、『主夫』全然ありですよね~。仕事から帰ってごはんできていたら嬉しいですもの♪

と、冗談なような本気の意見ですが、どう思われましたか?

家事手伝いやニートは嫌ですけど『Youtuber』としてがっつり稼いでくれたら嬉しくないですか?そうでもないかな?『子供になってほしくない職業』で断トツの一位だそうですね。

 1位 YouTuber…59% 2位 営業マン…11% 3位 ゲームクリエイター…8%

すごい(汗)安定しないからですかね?人目が悪いから?

つまり。何が言いたいのかというと、選択肢が狭いんですよ。この国は。毎日会社に行っていなければ変。職人さんとか分かりやすい職業でなければ異質。じゃあそこに属せない人は?

働けない理由には様々な事例があります。人付き合いが苦手、働けないほどではないけれど精神疾患があり、トラブルが多発する、睡眠障害で同じ時間に起きられない、高校時代にスポーツ進学したものの体を壊して退学、体は障害が残るほどではないが肉体労働は無理・・・などなど。

結局仕事がない→専門職の学校へ行くにもお金がない→仕事がない→失業手当もない→できることがない→自宅で過ごす→引きこもる→親が年老いて養育できなくなる・・・

障害者の枠に入らない、一般的な道から滑り落ちてしまった人を直接的に救い上げてくれる方法が、公的に見つからないんです。自分で一生懸命探して、何度門前払いをくらっても立ち上がっていけるようじゃないと見つかりません。そんな気力・・・あったら違う方向に行っていますよね。

【引きこもり】社会での孤立

何年も引きこもっていると家族も本人もその環境に慣れてきます。最初の何年かは。養育する側に金銭的余裕があるとまた違うでしょう。

でも。だんだんと、苦痛や不安、不満が積もり積もってきます。焦りも出てきます。多くの事件のように暴力も見られると思います。

でも、もしも。精神障害の治療を適切に受けていて、(或いは障害がなくても) 地域や家族、なにかしらのコミュニティで『家事手伝い』のように受け入れられていられたら、大きな犯罪にまで繋がることは少なくなるのではないでしょうか?

これは理想で言っているのではありません。かつて家庭内暴力・知人への暴力で数々の問題を起こした息子は後に双極性障害と診断され、その行動は大きく変わりました。その後もたびたび問題は起こりましたが、頻度も減り、最後に暴れてからは7年の月日が経ちました。アルバイト先でトラブルになったこともありましたが、すぐに病院で即効性の薬を処方してもらい、半年くらいで落ち着いた生活に戻りました。その後普通に働いてもらうことをキッパリ諦め、障害年金の申請をし、2級の判定を受け、生活費を入れてもらっています。そしてそのことが彼にとって大きな心の安定になっているように思います。

つまり。受け入れ側の対応で変わることができるということです。

【引きこもり】みんなで共存できる未来へ

この先不安定な世の中が続き、もっともっと混沌とした社会になる気がしています。

身体に障害のある方、精神に障害のある方、様々な職種、外国から移民として日本にやってきている人、老人、子供・・・

小さなころから自分を違う他者を認め、異質なものとして追い払うのではなく共存すること、そんな社会になって欲しい、そんな豊かな社会になって欲しいと日々考えています。

こんなことを深く考えられるようになれたのは、手のかかる【引きこもり】の息子のおかげ。実は割と感謝しています(笑)だいぶん特殊な3人の子育て経験が効いていますね!!

豊かな人生を与えてくれた子供達に感謝しながらこのブログを書き続けていきますので、よかったらまたいらしてください♡ お待ちしております。

なお、相談機関等のリンクをはっておきますのでご活用ください。まずは相談から!第一歩です。

全国の精神保健福祉センター所在地

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メンタルヘルス治療や生活へのサポート(厚生労働省HP) 

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コメント

  1. ゆき より:

    引きこもりニュースが多く、それを見るだけで罪悪感。
    難しい問題……
    私は改善していると自分では思っているけど、
    日によっての沈み方が半端ない。その沈んだ日の
    何か言われた時の不快感…
    やはり身内の理解、対応、かなり影響があるとしか言えないですね。

    • tontontonton より:

      ゆき様
      お読みいただき、コメントまでありがとうございます!
      苦しい思いをされていらっしゃるんですね?
      『引きこもり』を異質な存在と信じてやまない世間に皆苦しめられている気がします。
      難しいことだとは重々承知しておりますが、どうぞゆき様の今の状況を、ゆき様ご本人が赦してあげてくださいね。
      これから暑くなります。ご自愛くださいませ。

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